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食の安全・市民ホットラインは消費者の食の安全を守ります。

TEL. 03-5155-4765

食の安全・監視市民委員会事務局内

 コラム リスト 


2014年9月16日   農薬・化学物質の神経毒性
2014年7月6日    ネオニコチノイドの危険性
2014年6月21日  
トランス脂肪酸を減らすアメリカと放置する日本。
         日米での対策の違いの理由はどこにあるか?

2013年12月18日  景品表示法違反ダイエットサプリ、「夜スリムトマ美ちゃん」
2013年5月31日  「食中毒被害者救済制度」実現まで克服すべき「課題」とは



 コラムを新設 しました


   「コラム」ページを新設しました。
   食の安全分野の専門家による提言やご意見を、
   このページから発信しようと企画しました。

 執筆担当は、コア団体、協力団体、事務局などのメンバーを、予定しております。




名前は、「忍者 つーほー丸」に決まりました。
J.Nakamuraに、ボランティアでデザインしていただきました。





「食の安全」コラムヘッドライン




 農薬・化学物質の神経毒性


農薬・化学物質の神経毒性

          2014年9月16日    食の安全・監視市民委員会  代表 
                         食の安全・市民ホットライン 代表
 神山美智子

 6月19日に東京大学山上会館で開催された、環境ホルモン学会講演会(環境化学物質とエピジェネティック制御機構の接点)に行って講演を聴いてきました。中に産婦人科の研究者(情報遺伝学分野)の有馬隆博さんの「男性精子のエピゲノム変異と環境化学物質の影響」は非常に興味深いものでした。わが国の男性不妊(乏精子症)患者は過去10年間で約25倍増加したというのです。これには、医療技術が進歩して受診する人が増えた影響もあるかもしれないとのことですが、環境化学物質の影響によるのかどうかを調べるため、PCBなどいろいろな化学物質を使って、GC×GC/TOF−MS法という説明困難な方法で影響を見たそうです。
 その結果、PCB濃度と精液所見(精子数や運動率など)とは、負の相関があったそうです。
 会場からの発言では、日本人はPCBにばく露されてきたので、不思議はないというものがありましたが、別の方は、確かにPCBばく露は大きかったが、海の底なども下の方に溜まっているので、男性不妊増加の原因なのか、むしろ現在増え続けている農薬(トンボがいなくなるほど毒性の強い農薬)が原因ではないかと思われるから、ぜひ引き続き農薬も対象にして調査してほしいと発言されました。
 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が作成した、ネオニコチノイド(ネオニコ)農薬パンフレットに記載されている出荷量グラフと、有馬さんの示された男性不妊増加のグラフとはまさしく重なります。
 ネオニコ農薬は、世界中でミツバチ減少の原因ではないかとされ、フランスやイギリスは一部の使用を禁止しています。
また有機リン農薬やネオニコ農薬は、子どもの神経発達に悪影響があり、HDAD,自閉症、IQ低下、小児ガン、喘息などの原因ではないかという研究が発表されています。
 最近出版された黒田洋一郎氏と木村・黒田純子氏の共著『発達障害の原因と発症メカニズム』(河出書房新社)には、単位面積当たり農薬使用量と広汎性発達障害の有病率という二つのグラフが掲載されています。どちらも1位は韓国、2位は日本、3位イギリス、4位アメリカです。しかも日韓両国はダントツに高いのです。
 ネオニコ農薬は田畑だけでなく、建材にも使われ、家庭内の殺虫剤・防虫剤としても多用されています。ゴキブリが1匹もいなくなるのと引き替えに、精子が少なくなったり、子どもの神経発達が阻害されるのでは、公平な取引とは言えません。
 子どもは社会の宝です。そして男性の精子は、卵子とともに、宝の種です。





 ネオニコチノイド農薬


ネオニコチノイド農薬の危険性

     
                                ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議理事    水野 玲子

1990年代半ばよりヨーロッパ各地でミツバチ大量死が発生して、今日ではその現象は世界中に広まりました。20年間ほど様々な原因が取りざたされて議論が続きましたが、ついに2012年この議論はネオニコチノイド農薬原因説に決着しました。サイエンスやネーチャー誌にたて続けにネオニコチノイド農薬とミツバチやマルハナバチの異常行動や弱体化、女王バチの産生率低下などを結びつける科学的証拠が発表されたからです。

 EUは2013年末、ネオニコチノイド農薬の3成分の一時使用中止を決めて、限定的ではありますが規制が始まっています。しかし日本では、この農薬が従来の農薬に比べて弱毒性だとする“安全神話”がまかり通り、国内出荷量は増加の一途で、農作物の残留基準もますます緩和されようとしています。

1 生態系全体への影響が懸念される

 ネオニコチノイド農薬が及ぼす影響はミツバチにとどまりません。生態系全体へのこの農薬の影響を危惧する動きがヨーロッパ各地で見られます。イギリスの市民団体は2008年、「ネオニコチノイド系農薬のマルハナバチ・ミツバチ、非標的無脊椎動物への影響」という報告書をまとめ、標的外生物への影響を警告しました。またオランダでは、ユトレヒト大学を中心にこの農薬の成分のひとつ、イミダクロプリドの水生生物や昆虫、鳥類など数千におよぶ生物への影響調査が行われ、水系生物への危険性が指摘されました。

日本のミツバチ大量死は、2003年頃から全国各地で発生しており、日本養蜂はちみつ協会(日本の養蜂家の約半分が参加)の調査結果では、少なくとも2009年前後は毎年約2億匹のミツバチが農薬によって死滅しました。一方、トンボへの影響についても環境省のEXTEND2010「野生生物の生物学的知見研究」で報告されていますが、それは全国的に今日実施されている稲の育苗箱へのネオニコチノイド(イミダクロプリド)やフィプロニル*撒布が、トンボの激減につながるとする結果です。

*フィプロニルはネオニコチノイド系ではないが、同じく浸透性農薬として危険性が注目されており、ペットのダニ取り剤、家庭用殺虫剤に多用されている。

2 生活の中のネオニコチノイド

ネオニコチノイド農薬は、従来多用されてきた有機リンやピレスロイドに替わり、90年代に登場しました。この農薬は有機リン農薬に比べて「弱毒性」で「害虫は殺すが人には安全」という振れこみで急速に広まり、しかも少量で非常によく効くので、農水省では“減農薬推進の柱”に位置付けています。そして現在、日本人の生活にはこの新農薬が溢れており、野菜、果物、お米などの農作物だけでなく、家庭内の殺虫剤や住宅建材、ゴルフ場や松枯れ対策のために全国の森林にも撒布され、その国内出荷量(有効成分)は最近10年で約3倍に増加しました。

現在7成分(イミダクロプリド、アセタミプリド、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ニテンピラム)が登録されていますが、スルホキサフロルという新しい成分が登録されようとしています。良く知られている商品は、各地でミツバチ大量死の原因となったダントツ(成分:クロチアニジン)やスタークル(成分:ジノテフラン)、稲の育苗箱に使用されるプリンス(成分:フィプロニル)などです。

3 ネオニコチノイド農薬の危険性

代謝産物の毒性は強い

イミダクロプリド、イミダクロプリド代謝産物                毒性比較(受容体50%阻害濃度 nM)

 

昆虫      (無脊椎動物)

魚・鳥・哺乳類等(脊椎動物)

選択毒性     比

イミダクロプリド

4.6

2600

565

デニストロ    イミダクロプリド

(代謝産物)

1530

8.2

0.005

M.Tomizawa, E. Casida:

Selective Toxicity of Neonicotinoids 2003

ネオニコチノイドの危険性はどこにあるのでしょうか。開発企業は下図に示したようにイミダクロプリドの例から、昆虫に比べて哺乳類では565倍も毒性が弱いと主張しました。この選択毒性比較の農薬企業データが、その後農水省などによる“安全な農薬ネオニコチノイド”の理論的根拠として使用されてきました。しかし、化学物質は人の体内に入ってから毒性が強まることがあります。イミダクロプリドの代謝産物のひとつであるデニストロイミダクロプリドは、ヒトの体内で逆に昆虫に比べて毒性が何百倍も強まるのです。このような重大な人への危険性情報を、私たちには知らされずにいるのが現状です。

懸念されるヒトへの神経毒性

そもそもヒトも昆虫も神経伝達が正常に働かないと生きていけませんが、その神経伝達を担うのが神経伝達物質(アセチルコリンもそのひとつ)です。有機リン系農薬の神経毒性は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』でも指摘されてきました。しかしネオニコチノイドもまた、異なる神経毒性があります。有機リンはアセチルコリンの分解酵素を働かなくさせ、ネオニコチノイドは、このアセチルコリンがなくてもアセチルコリン受容体に結合することによって神経伝達を阻害します。その結果は神経麻痺です。昆虫もヒトも神経系の基本は同じであり、人間だけが例外とはいえないのです。

 

2013年、EUはネオニコ3成分の一時使用中止を決めた後、ネオニコの2成分、アセタミプリドとイミダクロプリドがヒトの脳の発達に悪影響を及ぼす恐れがあると警告しました。このニュースは世界の主要メデイアで大きく取り上げられましたが、この警告の元となった論文は、日本人kimura-kurodaらによる論文です。

発達途上の子どもの脳への影響を指摘した日本において、この農薬の使用がさらに促進されている状況は早急に改善する必要があります。

複合毒性 ―毒性の相乗効果は大きい

ネオニコチノイド農薬をその他の殺菌剤などと混ぜて使用すると毒性が高まるとの研究報告があります。農薬の業界雑誌(Crop Protection)の論文によれば、ネオニコチノイド農薬と殺菌剤トリフミゾールとを合わせて使用すると、最高でミツバチ毒性が約1000倍増加します。トリフミゾールという殺菌剤は日本でも野菜などの栽培に多用されており、日常的にネオニコチノイドとこの殺菌剤を混合した農作物を私たちは食べています。ヒトへの毒性の相乗効果が危惧されます。

浸透性 ―洗っても落ちない

浸透性農薬(Systemic Pesticides)の浸透性とは、農薬が作物の根から吸収されると、葉や茎、花、花粉にいたる作物全体に農薬がしみわたると言う意味です。したがって、従来の農薬は洗い落とせましたが、ネオニコチノイドやフィプロニルの場合は洗っても落ちません。この浸透性が禍となって、花粉などを集めたミツバチに大きな影響を及ぼしたと考えられています。

異常に高い日本の残留基準値

日本におけるネオニコチノイド問題のひとつは、この農薬の日本の残留基準が欧米に比べて極端に高いことです。下図に示したように、果物や野菜のアセタミプリドの残留基準は、米国に比べて1.725倍、EUと比べて3300倍も高い。これでも最近基準が厳しく改定されたものです。ところが、2013年秋から

EUで一時使用禁止されることになった

クロチアニジンの残留基準を大幅に緩和しよう

とする動きが日本で活発になってきました。

クロチアニジンの残留基準緩和の動きです。

ほうれん草の残留基準をこれまでの

3ppmから40ppmにしようとするその案に反対

するパブコメは、異例ともいえる1600件以上

集まりました。また、グリンピースなど市民団体

で集めた反対する電子署名は1万2000を超えました。

ほうれん草にクロチアニジン40PPMという値は、体重16キログラムの子供が40g食べるだけでEUの急性参照用量(ARfD)を超す値といわれています。食品安全委員会は市民の反対を受けて一旦この基準緩和案を凍結しましたが、それでもこの残留基準案になる可能性もあり、予断を許さない状況です。

4 無人ヘリの空中散布と米の等級制度

目下日本の空では約2400機もの無人ヘリコプターが農薬を撒布しており、ネオニコチノイド農薬がきわめて高濃度で散布されています。例えば北海道では、前述したダントツが原液の8倍希釈で撒かれていますが、この商品は2000倍に薄めてもミツバチには危険とされています。EUではすでに2007年にヘリコプターによる農薬空中散布は禁止されていますので、人への神経毒性が懸念されているこの農薬の空中散布を、一刻も早く中止しなければなりません。

さらに、米の等級制度が水田におけるネオニコチノイド撒布を助長しています。斑点米(カメムシに食べられた褐色米)の比率が1000粒に1粒で1等級、3粒までは2等級となっています。等級が下がり米の値段が下がるのを防ぐためにネオニコチノイド撒布が推奨されているのです。現在では色彩選別機で褐色米を取り除く技術があり、空中散布は不必要ですので、この等級制度のためにネオニコチノイド散布が助長され、され日本の生態系が大きな打撃を受けているのが実情です。

5 政策提言と予防原則

以上、ネオニコチノイド農薬はミツバチだけでなく、トンボや鳥などにも生態系全体への影響がすでに現れています。取り返しがつかない状況になる前に、予防原則を適用しネオニコチノイドとフィプロニルの使用を自粛すべきです。NPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議は、これら農薬の使用中止を求めて国に提言書を2回提出しました。この農薬の使用自粛とともに空中散布の中止、カメムシ防除の理由となる農作物検査法の改定、農薬による生態系への影響調査の実施、住宅建材、シロアリ駆除剤、家庭用殺虫剤への対策、そして最後に、同農薬の子どもの脳や神経系への影響についての調査研究の実施を求めました。

 

ヨーロッパ諸国の中でも農業国フランスでは、国の将来の食料安全保障を考える上で、農薬物の受粉をになうミツバチなどのポリネーター(花粉媒介者)を守ることを国家の重大事だと考え、ネオニコチノイド農薬の規制を開始しました。それに比べて日本では、農水省も専門家も農薬の生物への害には無関心で、ヒトへの神経系毒性があるネオニコチノイドの使用が拡大し続けています。このままでは、虫や鳥が消え、日本の生態系破壊が進み、どこの国よりも早く、“沈黙の春”が訪れることになるでしょう。農薬のヒトへの影響、特に子どもへの影響について、最近米国小児科学会は学会としての警告を小児科雑誌に発表しました。農薬の子どもへの影響は、脳腫瘍や白血病などだけでなく、最近激増しているADHDなどの発達障害も含まれています。一刻も早く、ネオニコチノイド農薬の規制が望まれます。

引用文献

(1)Henry, M. et al. A Common pesticide decreases foraging success and survival in honey bees. Science 336, 348-350 (2012).

(2)Grill, R.J.et al. Combined pesticide exposure severely affects individual-and colony-level traits in bees. Nature 491, 7422 (2012).

(3) 水野玲子『新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす』   (七つ森書館、2012).

(4) ローワン・ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』(文芸春秋、2009) 

(みずの れいこ:NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)

水野 玲子さんのプロフィール:
1953
年生 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議理事。化学物質の子どもへの影響を調査研究。
著書『新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす』(七つ森書館)、共著書『虫がいない 鳥がいない』(高文研)など。

 

 トランス脂肪酸


トランス脂肪酸を減らすアメリカと放置する日本
   日米での対策の違いの理由はどこにあるか?
 



     植田武智   科学ジャーナリスト・食の安全・監視市民委員会運営委員 2014-6-22

 トランス脂肪酸について記事をと、求められましたので昨年12月にmynewsjapanという有料ニュースサイトの記事を一部抜粋して整理し直してみました。

 もとの記事は、「米国で禁止のトランス脂肪酸 国内ワーストマーガリンは日本生協連、ファストフードのワーストはマクドナルド」(http://www.mynewsjapan.com/reports/1935)

と「敷島製パンはトランス脂肪酸漬け コンビニ独自ブランドパンではファミマとサンクスに要注意」(http://www.mynewsjapan.com/reports/1944)です。

 ポイントは、アメリカFDAの見解と食品安全委員会の見解の違いが出てくる理由は何かということです。結論から言えば、放射能汚染のリスクの時もそうなのですが、できるだけ数値で示せるものは数字で示して(定量的判断といいます)、リスクの大小を誰でも判断できるようにしようとするアメリカの態度と、ある量以下は問題ないと線を引きたがる(ゼロリスク願望)日本の対応の違いです。

 アメリカでもすでにWHO推奨値以下なのにさらに減らそうとしている

  まず、世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量の目安として1日の総エネルギー摂取量の1%以下にすべきだと勧告しています。1日のエネルギー摂取量を1800kcalだとすると1%は18kcal、脂肪だと2g相当となります。

 日本でのトランス脂肪酸の平均的な摂取量は、総エネルギー摂取量0.31%(脂肪量で0.6g)なので、WHOの勧告値より低くなっています。しかし、アメリカでもすでにWHOの勧告値であるエネルギー比1%以下はクリアしています。アメリカでは、さまざまな規制措置の結果、平均的なトランス脂肪酸の摂取量は劇的に減り、1998年段階で5.3g/日(摂取総エネルギー比で2.6%)だったものが、2011年の調査では1.3g/日(エネルギー比で0.6%)にまで減少しました。しかしFDAはさらに摂取量ゼロに向けて、新たな規制強化を勧めようとしているわけです。その根拠としているのが、疫学調査から得られた推定モデルで、さらに減らすことで、冠動脈性心疾患(CHD)の発症で2万人、死亡者数で7000人減らすことができる、と具体的数値をあげて、対策の是非を検討しています。


 トランス脂肪酸を大量に摂取している人と少ない人での、発症リスクを比べた疫学調査では、1日当たりエネルギー比2%(約4g)の摂取で、CHDのリスクが23%増加する、ということが分かっている。それ以下の摂取量でのリスクは、統計的に有意差が出ないため不明、とされています。


 放射線の健康影響と似たところがあるのですが、大量にばく露した場合の危険性が判明している場合、少量ならば安全と言えるのか、という問題です。実験データなどで、明らかに、一定量以下では影響がないという閾値(いきち)が見つかっているのならばよいのです。しかし、そうしたデータがない場合、少ないなりに危険性があると判断することも一理あるはずです。


 アメリカでは、高い摂取量のグループで見つかったリスクをもとに、低い摂取量でのリスクを推定しています。日本でも食品安全委員会のトランス脂肪酸の評価書を作った新開発食品専門調査会の議事録を見ていたら、最初はアメリカのように数字を出してリスクを計算しているのが見つかりました。審議の元データとして使用された「食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価情報に関する調査 調査報告書」http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20110010001の111ページで「日本でトランス脂肪酸摂取量をエネルギー比0.1%減少させた場合の予想される効果」が示されています。


 今回、そのデータをもとに、さらに厳密に計算し直して、日本人での工業的トランス脂肪酸の摂取量であるエネルギー比0.19%(0.403g)を減らした場合の効果を計算してみました。

日本でも更なる対策で年間945人の死亡を減らせる

 説明する前に、少しトランス脂肪酸のおさらいをしておきましょう。トランス脂肪酸は大きく分けて、人工的な工業由来のものと天然由来のものに分けられます。工業由来とは、植物油を加工する過程で発生するトランス脂肪酸のこと。マーガリンやショートニングなどに使われる硬化油(部分的水素添加油)が一番の原因ですが、他にも食用植物油の脱臭加工時の加熱で発生するものもあります。

 一方、自然由来のものは、牛や羊など反芻動物の胃の中で微生物によって作られるもの。牛乳や牛肉に微量だが含まれることになります。


 どちらもトランス脂肪酸なのだが、種類が違います。よくオーガニックや自然食品などへの批判として、「天然だから安全」とは言えない、と言われることがあります。トランス脂肪酸の場合は、天然は安全で、人工的なものが危険、とはっきり言えるのです。

疫学調査で心疾患のリスクが上がることがはっきりしているのは、工業由来のトランス脂肪酸である。牛由来の天然のトランス脂肪酸の場合、リスクの上昇は観察されていない。逆に、一部の研究では、リスクが下がるという結果も出ている。その点については食品安全委員会の最終的な健康影響評価書http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/trans_fat.htmlにも書いてあります。そういった理由から、アメリカの今回の低減策でも、人工的なトランス脂肪酸に目を付けて減らそうとしているわけです。

 さて、食安委の評価書では、人工的トランス脂肪酸と天然由来のトランス脂肪酸の摂取量を分けて推定しています。日本人の平均値では、トランス脂肪酸の摂取総量はエネルギー比で0.31%(0.666g)。その内、人工的トランス脂肪酸がエネルギー比で0.19%(0.403g)、天然由来が0.12%(0.262g)だ。つまり約6割が人工的工業由来で、4割が天然由来ということになります。


 その工業由来のトランス脂肪酸を減らした場合の、心疾患のリスク低減効果を計算したのが、添付の図です。1日当たりエネルギー比2%(約4g)の摂取で、CHDのリスクが23%増加するというデータをもとに、用量―反応関係があると仮定して計算しました。すると患者数で1万7291人、年間死亡者数で945人の減少効果があることになります。




 この数値は、さまざまな仮定をもとにした計算なので、設定の数値が変われば変化します。ただこうした具体的な数値を計算すると、ただ漠然と「影響は小さい」と言うよりも対策を考えるうえでも参考にできるわけです。米国FDAでは、細かいデータには違いがあるものの、同様の方法で数値を出して、それらをもとに対策を決定し、国民に説明しています。

 数値を隠して恣意的評価を下した食安委

 一方、日本では、2011年8月23日の食品安全委員会の新開発食品専門調査会第79回会合http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110823sh1では、こうした低減効果を数値で示すことに対して異論が相次ぎました。

 議事録に詳しく記載されていますが、反論として

1)リスク評価の元になった数値はアメリカなど外国人での影響を調べたもの。日本人に適用できるか不明。

2)心疾患の原因は、トランス脂肪酸の他にもたくさんある

3)閾値があるかどうか、判断する根拠がはっきりしていない

などの意見がだされ、このような数値で示すのは不適切となりました。

 これらのいずれの理由も、低い摂取量ならば安全だというデータを示したものではありません。アメリカ人と日本人は違うといいますが、日本人のデータは存在しません。閾値があるという根拠があるのならば、それ以下なら安全と言えますが、食安委は、危険だという根拠がはっきりしないと言うだけです。はっきりしない部分については、リスクがあると判断して対応しておいた方が、被害予防の観点からは好ましいのではないでしょうか。

 結局、日本でははっきりと危険と言えなから安全と判断しているに過ぎません。放射能の100ミリシーベルト以下のリスクは不明と結論付けた時の評価と同じ理屈です。食品安全委員会が、事業者と消費者のどちらを向いて仕事をしているのかがわかる例だと言えるでしょう。



景品表示法違反ダイエットサプリ「夜スリムトマ美ちゃん」 


景表法違反でも売り続けるダイエットサプリ「夜スリムトマ美ちゃん」の問題

      植田武智   科学ジャーナリスト・食の安全・監視市民委員会運営委員 2013-12-18

  


「寝ている間に勝手にダイエット!?」「寝る前に飲むだけで努力なし!?」などの広告表示で50億円売り上げた人気のダイエットサプリ「夜スリムトマ美ちゃん」。12月5日に消費者庁が、景品表示法(景表法)違反だと発表しました。

12月6日のテレビ朝日の「モーニングバード!!」でこの問題が取り上げられ、私のコメントも使われた(http://www.facebook.com/uedatakenori1で閲覧可能)のでご存じの方もいるかもしれません。「『トマ美ちゃん』だけでなく、それ以外のほとんどの市販のサプリも景表法違反」などのコメントもしゃべったのですが、さすがに健康食品が大スポンサーであるテレビ局では却下されたようです。BS放送や通販番組が全滅するからでしょう。

 
問題の
ダイエット広告の
変化
(提供は植田氏)






行き過ぎた表現だけが問題なのか?

 その他にも司会の羽鳥慎一アナが「ダイエットサポート食品だから、トマ美ちゃんプラス運動をすればきっと痩せるんでしょう」とフォローしていましたが、そこに健康食品の問題の底深さを感じさせます。以下説明します。

「トマ美ちゃん」の販売は現在も続いています。「トマ美ちゃん」の販売業者である「コマースゲート社」に尋ねたところ「過去の一部の表示に行き過ぎた表現があったと指摘されたので、その部分は改めています。商品自体には問題はないので販売は続行、返金対応などは考えていません」とのこと。

 確かにHPを見ると「寝る前に飲むだけで努力なし」などの表現は削除されていますが、12月10日段階では「ダイエットを諦めていた40歳主婦だって大変身!!」とか「見てくださいこの美ボディ」といって摂取前と後の比較写真などが掲載されていました。

 「美ボディ」はいいのか?消費者庁に質問したところ「改善後の表示にも、その裏付けとなる合理的根拠がない場合はダメ」とのこと。しかし「美ボディ」はいいのかという点については「事業者が措置命令に従って表示を改善中の段階なので」判断はできないという答え。どうも歯切れの悪い対応です。

肝心の痩身効果については「証拠はあるけど見せられない」(事業者)

 そこで事業者に対して再度、そもそも「トマ美ちゃん」を飲むことで痩身効果があるという合理的根拠を持っているのかと尋ねたところ、「臨床試験データなどはあるが、一般には見せることはできない」という答えが返ってきました。見せられないのに証拠はあると言われても信じようがありません。 

罰則が無いのでウソついたもの勝ちの健康食品

その後11日にはトマ美ちゃんのHPが再度訂正。何が効果なのかわからない意味不明なものになりました。

 景表法違反がはっきりしても、事業者は「一部行き過ぎた表現の問題で効果が無いと証明されたわけではない」と言い張ります。では「効果があることを証明しているのか」と聞くと「あるけど見せられない」と開き直るわけです。

 そうした対応に、現在の景表法は有効に対応できていません。本当だと証明できない場合、嘘だと判定して、そこでの儲けを返納させて、消費者に返すというアメリカの連邦取引委員会のような制度が必要です。

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牛ユッケ「食中毒死亡事件」がきっかけ


 富山の焼肉店チェーンによる牛の生ユッケによる食中毒事件から2年が過ぎました。しかし、発生から2年以上も経過しているのにも関わらず、被害者や遺族に対しての損害賠償がいまだに終わっていません。
「47NEWS」の記事によると、被害者の遺族や被害者本人が、国に対して「食中毒被害者救済制度」(以下「救済制度」とする)の導入を求めています。
本来、「救済制度」は、食中毒被害者に対する「心の支援」や「金銭的賠償の実現」のために考えられた仕組みです。しかし、「救済制度」をスタートさせるためには、クリアすべき具体的な課題も浮上しているのです。



(画像は、イメージ)




加害者企業の従業員の賃金が、「被害者補償」の前に保証!?


例えば、 
朝日新聞の記事によると、遺族らは、「被害者補償」がなされる前に、食中毒を起こした事業者側の従業員の賃金が保証される制度の見直しを求めています。つまり、民法に規定されている「先取特権」の改正を訴えているのです。


被害者を苦しめる!? 「先取特権」改正による問題点とは


もし、今回提案されたような「先取特権」の改正が実現すると、加害企業の従業員の賃金支払いが保証されなくなります。よって、例えば、加害企業の従業員のモラルハザードによる弊害が懸念されます。具体的には、食中毒事件発生後に、一斉に従業員が業務放棄する可能性や、食中毒被害者への賠償手続きが滞るリスクなどが考えられます。したがって、「先取特権」の見直しは、現実的とは言えないのです。


被害者救済 強制保険加入制度が現実的か


 つまり、「被害者救済」の実効性を高めるより現実的な方法論としては、経営責任の強化(明示化)や賠償保険の強制加入制度の創設を検討すべきです。特に保険の強制加入制度は、被害者賠償が、スムーズに進むというメリットがあります。なお、強制保険加入制度の導入においても、保険金による「コスト増」という問題があるので、導入に際しては、国民的議論が必要といえます。


実効性を高める「強制執行力」強化と「食中毒情報の一元化」

 
今回、遺族らは、「食中毒事故」を減らすために、行政による食品・飲食事業者の「監視指導」強化も提言しています。そして、「監視指導」の実効性を高めるためには、「強制執行力」の強化や関係者による「情報共有」が大きなポイントといえます。

例えば、労働基準監督署に与えられている「逮捕権」のような強い権限を、食品安全行政をつかさどる保健所などの組織に新たに付与することなどが考えられます。さらに、国や都道府県などの自治体に加え「事業者」と「消費者団体」など食品安全問題に携わる関係者がアクセスできる「食品安全情報一元化システム」の構築なども期待されます。

救済制度の早期実現を その前にすべき消費者の「自己防衛」とは


 一方で、今回のような「食中毒」による悲劇を繰り返さないためにも、消費者の一人一人が、国や地方自治体などが発信している「食のリスク」情報を収集するなど「自衛」することも大切といえます。現在、ネット上には、私たち消費者の不安を煽るだけの危険な「食の安全」とされる情報もあふれています。つまり、ネット時代において、消費者自身も、「自然科学」的、および「社会科学」的に十分な根拠がある情報かどうか「選別できる」力こそが、求められているのです。

                           【2013年5月31日】

 食の安全・市民ホットライン・ネットアドバイザー:西原崇文(経営・ITコンサルタント)
                                        


※本コラムは、食の安全・市民ホットラインとしての公式見解ではありません。記事の著作者個人の見解です。
※本コラムは、2013年5月31日現在の情報を元に記載されております。

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 これまでの コラム リスト


食品への放射線照射に再度の警鐘

<大阪食品安全研究会、加藤不二男>
WHO(世界保健機関)が1994年に、「Safety and nutritional adequacy of irradiated Food」の題名で刊行し、コープ出版が1996年に「照射食品の安全性と栄養適性」の和名で邦訳出版した。
当時から生協組合員の多くは、食品に放射線を照射することに反対しており、日生協系の出版社が、あえて火中の栗を拾うような挙に出たことを私は奇異に感じ、警鐘を鳴らしたことがあった。


翻訳書が出版された90年代半ば以降、放射線照射の容認、導入を図る試みは幾度かあった。とりわけ香辛料の輸入業界は、アフラトキシンの原因カビの除去に放射線の使用を認めるよう、政府に圧力をかけ続けてきた。

それがいま、厚労省による「牛生レバ刺し」の禁止とそれに不満の一部消費者のエゴを逆手にとって、放射線の照射で腸管出血性大腸菌の殺菌を行うことを認めるよう、世論を誘導している(誘導しているのはマスコミ?)。TPPやEPAによって我が国の食の安全体制が揺らぐなか、食品の放射線照射の問題もまた、一挙に導入される可能性が強まった。
翻訳本の問題点を紹介するとともに、放射線照射の拡大の動きを強く懸念します。


翻訳本の「はじめに」では、「・・・・世界保健機関は、食品照射が本来もたらす利益に対する理解不足に起因する照射処理法の不当な拒絶は、食品照射が最も有効と考えられる国々での利用を阻害するかもしれないことを懸念している」と、食品照射に反対する人々を牽制している。この姿勢は翻訳本のあちこちに散見される。そして最後の「総合的結論」では、
(1)照射処理は、毒性学的立場から見て、人間の健康に有害な影響を及ぼすような食品成分の変化をもたらさない。
(2)照射処理は、消費者への微生物学的危険性を増大するような食品中の微生物相の変化をもたらさない。
(3)照射処理は、個人および集団の栄養状態を悪化させるほどの栄養価の損失をもたらさない。
と断定している。
しかし、翻訳本にも、「ビタミンCが、放射線照射で損壊される」など無視できない危険性の事例が引用されている。にも関わらず、あたかも先に結論ありきのごとき断定が随所に見られる。

それだけに、中村幹雄氏による「甘味タンパクのタウマチンの、電子照射試験の結果」は極めて貴重であり、こうした研究、試験が多くの研究者によって大いに実施されることを願っている。
文責
加藤不二男氏
大阪食品安全研究会
食品照射の研究紹介

レバーとか肉ではないのですが、食品添加物への照射研究では実験動物の体重に影響がありました。
甘味タンパクであるタウマチンに、電子線照射試験を行い、殺菌効果を確かめたことがあります。
5.0kGyを照射、それを飼料に、0.3%、1.0%、3%添加し、13週間、ラットに与えました。
毒性学的に意義のある所見は見出されませんでしたが、照射タウマチンの添加量を増すと、体重増加が抑制されることが判明しました。
さらに、アラビアガムにコバルト60を照射した場合も同様に、体重の差が見られました
両方ともに、タンパクの重合、あるいはタンパクと多糖類等との重合により吸収が妨げられたと考えています。
従って、食肉への照射の場合も、事前に代謝に影響がないかどうかを慎重に検討する必要があると考えます。
文責
中村幹雄氏
鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授
コーデックス委員会は、動物組織中のラクトパミンの残留基準を設定

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部による「食品安全情報(化学物質)No. 14/ 2012」(2012. 07. 11)に
右の記事が紹介されている。
ラクトパミンの規制値は、
豚及び牛の筋肉中10 μg/kg、肝臓中40 μg/kg、腎臓中90 μg/kgである。

ラクトパミンは成長促進剤であり、ブタを脂身の少ない状態に維持する。
コーデックス委員会の総会
ラクトパミンの豚及び牛の組織中の最大残留基準が採択された。この決定は、提案されたレベルがヒトの健康に影響しないことを確認する厳しい科学的評価を経て行われた。評価はコーデックスを科学的に支援するJECFAが実施した。コーデックス委員会の総会では、委員会ルール及び手続きに準じて投票による決定となり、賛成69、反対67、棄権7で採択された。
コーデックス委員会 国立医薬品食品衛生研究所
動物用医薬品ラクトパミン

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部による「食品安全情報(化学物質)No. 14/ 2012」(2012. 07. 11)に
<注目記事>として右の記事が紹介されている。
【WHO/FAO、EU、USDA】 コーデックス委員会でのラクトパミンの基準採択について
2012年7月5日、コーデックス委員会総会において動物用医薬品ラクトパミンの豚及び牛への最大残留基準(MRL)が採択された。これに対し、ラクトパミンの使用を認めていないEUは不当な採択だとのコメントを発表し、使用を認めている米国農務省(USDA)は長官が採択を歓迎するコメントを発表した。
*ポイント: ラクトパミンの採択については、反対派であるEU及び中国等と賛成派の米国及びカナダ等の間で長い間対立してきました。今回、食品の安全性確保及び貿易上の指標として重要となる国際基準の結着がついたことでこの問題は収束しそうに思われますが、今回の採択が僅差だったことや台湾でラクトパミンの残留を理由に米国産牛肉の輸入が政治問題になっていることなどを考えると、ラクトパミンの議論は今後も続く可能性があります。コーデックス委員会の総会では、他に液体乳児用調製乳のメラミン最大基準及び乾燥イチジクのアフラトキシン最大基準などを採択しています。
WHO 国立医薬品食品衛生研究所
食品の放射能汚染
検査数が水増しされているため、新・規制値超えの割合は、低くなっている。

生労働省がこれまで公表した食品の放射能汚染の検査値を、新・規制値のもとづいて再検討しました。
検査の品目と件数などに片寄りがあります。牛肉の検査数は異常に多く、しかも汚染が考えられないような、福島原発から遠隔地で生産された牛肉が検査されています。 検査数が水増しされているため、新・規制値超えの割合は、低くなっている。そのため、汚染の実態が正確に反映されていない。

 資料
山口英昌 美作大学
米国で4頭目のBSE感染牛

ヤング会長の「感染牛の発見は検査システムが機能している証拠だ」発言は、「証拠」ではなく、安全でない「証拠」
2012年4月24日、米国カリフォルニア州で牛海綿状脳症(BSE)に感染した乳牛が確認された問題について、ひと言。
<大阪食品安全研究会、加藤不二男>
米国食肉連合会ヤング会長は、「感染牛の発見は検査システムが機能している証拠だ」と発言しました(神戸新聞2012.4.26)が、「証拠」ではなく、むしろ逆ではないかと考えます。
今回のBSE牛の確認はサーベイランス検査によるもので、わが国のように全頭検査を実施しての発見ではないことに、注意が必要です。米国のと畜場では、獣医官または食肉検査官が目の前を通過する牛の歩行状態などを目視し検査します。中枢神経症や歩行困難な牛を発見すると、と畜が禁止されます。こうしたへたり牛や死亡牛などを対象に、BSEのサーベイランス検査が実施されます。へたり牛や死亡牛の割合や頭数を筆者は把握していませんが、米国でBSE検査が実施されたのは、1995年までは年間僅か1000頭で、2003年でも20543頭に過ぎません。米国の飼育頭数9500万頭、年間と畜数3300万頭からすればきわめ僅かです。検査は形式的と云えます。
米国はかねてから、「高リスク牛の検査でBSE牛が発見されていないのだから、健康な牛を検査する必要はない」、「全頭検査は非科学的だ」と主張してきました。しかし、わが国におけるBSE牛確認事例でみると、2001年から2006年までの25例中、起立不能などの異常所見がなかったものが11頭にのぼります。米国の検査システムでは、見逃されていたでしょう。こうしたことから、「サーベイランスで非定型を1頭発見した」ということは、ヤング会長がいう「検査システムが機能している証拠」というよりは、「極めて偶然に(それも、氷山の一角かもしれない)BSEの牛が発見された」とする方が適切です。
米国の発表では、今回のBSE牛は「非定型」としています。「非定型は肉骨粉からの感染ではなく、自然に発症すると推定されている」と山内一也氏は同紙へコメントしていますが、本当に「非定型BSE」なのかどうかの検証が必要不可欠です。米国では、肉骨粉の牛への給餌は禁止されているものの、鶏や豚への給餌は容認されており、牛への流用が懸念されています。日本や欧州などほとんどの国では、肉骨粉そのものが禁止されています。こうした努力で、英国を始め世界各国でのBSEは激減しました。しかし畜産に肉骨粉が流通する米国では、BSEが発生する大きな危険がいまも存在するからです。
参考図書、加藤不二男「BSE汚染と今後の課題」、「食環境科学入門」第5章3、ミネルバ書房(2006年)
加藤不二男 大阪食品安全研究会
食品の放射能汚染 生労働省がこれまで公表した食品の放射能汚染の検査値を集計し検証しました。
 
資料
山口英昌 美作大学
食品の放射能汚染 生労働省がこれまで公表した食品の放射能汚染の検査値を集計し検証しました。
 資料
山口英昌 美作大学
食品の放射能汚染 生労働省がこれまで公表した食品の放射能汚染の検査値を検証した。
7か月後の10月でも、暫定規制値(セシウム)を超える食材は176件、10月の検査総数19000件の0.9%もある。また、暫定規制値を超えないグレーゾーンの検体も多い。規制値の5分の1を超える食材は8%にも達する。まだまだ目が離せない。

 資料を別添します。
山口英昌 美作大学食環境研究室
食品放射能検査 ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーによる食品放射能検査は、放射性ヨウ素(I-131)と放射性セシウム(Cs-134、Cs-136、Cs-137)を精度良く検出することが可能で、検出感度は、1Bq/kg (測定時間による差がある)とされています。
しかし、農薬検査と同じように、過当競争による値下げ競争が始っています。
検査を依頼する側も「検出されず」が欲しい訳ですから、測定時間を短縮することにより値下げができますし、感度も低下(悪化)しますので、利害が一致するようです。
条件付きですが、できるはずがない5,000円とホームページに記載しているところが出てきました。
厚労省に食品衛生法に基づく基準を確立させ、検査機関を監視させないと、いい加減なデータで、国民が騙されることになります。大変、憂慮しています。
中村幹雄氏 鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授
飼料のダイオキシン汚染(ドイツ)

<日本では、食品や飼料にダイオキシン基準値がなく、通常は検査されない>

2010年12月27日
ドイツからEU緊急警告システム(RASFF)に、ダイオキシンに汚染した工業用脂肪酸が飼料へ混入との通知。配合飼料は、産卵鶏、家禽肥育、豚、乳牛、ウシ農場に配送された(主にドイツ、一部デンマークとフランス)。飼料に使われた脂肪中123、124 pg WHO TEQ/gで、基準値を超過。
<問題点>
日本では、食品・飼料のダイオキシン基準値が決められていないため、国産、輸入品とも、通常は検査が行われていない。欧州では、ここ数年ダイオキシン汚染事故が繰り返されている(下欄)。”欧州の食品が危険”ではなく、欧州は自らが汚染を発見する仕組みあるから発見・対処されている。日本に仕組みがないことに問題がある。
事後処理では、厚労省は問い合わせ調査はしたが、輸入禁止しなかった。第三国経由の可能性もあり、当事国だけではすまない。慎重さを欠いた措置だ。

厚労省 事務局






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